一般的な皮膚科疾患に加えて、専門性の高い膠原病、関節リウマチ、難治性の乾癬(かんせん)やアトピー性皮膚炎の診断・治療を行っています。
また、巻き爪治療やピアッシングなど健康保険対象外の治療も行っています。
主な診療内容
主な診療内容をご紹介します。
- 尋常性乾癬 乾癬性関節炎+
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乾癬とは、皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に銀白色のふけができて剥がれ落ちる皮膚の病気です。皮膚症状以外に、関節の痛みや腫れを伴った乾癬性関節炎を合併することがあります。日本では50万人程度の方が罹患していると推定されます。研究の進歩により、免疫異常が、乾癬を引き起こすことが明らかになってきました。
治療としては外用剤、内服薬、注射剤があります。外用剤塗布で効果不十分な場合、内服薬(アプレミラスト、シクロスポリン、メトトレキサート)を使用しています。重症の乾癬、または関節が罹患する乾癬性関節炎では、既存の治療法では十分な効果が得られない場合があります。その場合は遺伝子工学技術によって開発された生物学的製剤を使用します。注射剤では点滴静注1剤、皮下注射8剤が使用できます。
高価な治療法ですが、高額療養費制度、付加給付精度により医療費負担が少なくなる場合がありますので、ご相談ください。
これらの治療薬の使用を希望する施設は、日本皮膚科学会の承認が必要です。当クリニックは、全国で初めて日本皮膚科学会から承認されたクリニックです。
日野クリニックでの使用症例 ~アダリムマブ皮下注射による治療経過~
初診時、治療前の症状
シクロスポリンを内服したが、効果が限定的であったため、アダリムマブ皮下注射を開始
アダリムマブ皮下注射2週間後、1回の注射で皮疹は著明に改善
アダリムマブ皮下注射5回後、軽度の紅斑を残すのみとなった
- 関節リウマチ+
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関節に炎症が起こり、関節が腫れて痛む病気です。男性よりも女性に多く、30歳代から50歳代に発症することが多いとされています。病因としては免疫異常が考えられています。症状には関節症状と関節以外の症状があります。
関節症状としては手指、足趾、手関節の痛みと腫れがあります。全身症状としては体重減少、食欲低下、疲れやすさなどが見られます。
発病してから早い時期に診断し、早期に治療を開始することが必要です。薬物治療としては非ステロイド性抗炎症剤、副腎皮質ステロイド剤、抗リウマチ薬、生物学的製剤があります。生物学的製剤治療は高価な治療法ですが、非常に効果的な治療法です。
当クリニックには、‘日本リウマチ財団認定リウマチケア看護師’が在籍しています。関節リウマチについて疑問や質問がありましたら、担当看護師にお尋ねください。
関節リウマチ
- アトピー性皮膚炎+
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アトピー性皮膚炎とは、アレルギーを起こしやすい体質の人、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られるかゆみのある皮膚炎(湿疹)です。良くなったり、悪くなったりを繰り返します。湿疹が続くと、かゆみも持続し、ひっかくと湿疹が悪化し、バリア機能も低下し、外からの刺激を受けやすくなり、悪循環となります。
悪化因子の検索と対策を行い、ステロイド外用薬、免疫抑制剤であるタクロリムス外用薬、保湿剤を塗布します。内服療法としては抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、免疫抑制薬シクロスポリンを使用します。
2018年4月に既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎を対象に、生物学的製剤皮下注製剤デュピルマブ(商品名 デュピクセント)が発売されました。ヒト型抗ヒトIL-4/13モノクローナル抗体で、IL-4、IL13の働きを抑え、アレルギー反応に関わるリンパ球のTh2細胞による反応を抑えます。ストロングクラス以上のステロイド外用薬、またはタクリリムス外用薬を6ヶ月以上使用していても効果が不十分な方が対象となります。皮疹の軽快とともに重症度と相関する好酸球数、LDH、血清ヒトTARCが低下します。結膜炎が副作用と報告されていますが、点眼薬で改善しています。
2020年6月には、非ステロイド性外用JAK阻害薬デルゴシチニブ軟膏(商品名 コレクチム)が発売されます。
アトピー性皮膚炎
- 接触皮膚炎+
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いわゆる‘かぶれ’ の事です。接触皮膚炎には、刺激物質が皮膚について、誰にでも起こる「刺激性皮膚炎」と、皮膚についてアレルギー反応を起こして湿疹になる「アレルギー接触皮膚炎」があります。再発を防止するために、パッチテストを行っています。テストには、130種類のアレルゲンを用意しています。 治療は基本的にはその原因物質に触れないようにすることですが、対症療法としてステロイド剤の塗布を行います。また、痒みに対しては、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服を適宜行います。
接触性皮膚炎
- 脂漏性皮膚炎+
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主に成人によくみられ、頭・鼻のわき・脇の下等皮脂分泌の多い場所(脂漏部位)にできやすい湿疹で、通常痒みを伴います。この脂漏が基盤となり、紫外線やカビなどにより炎症を起こしたものが脂漏性皮膚炎です。原因については、まだ不明なことも多いのですが、生活サイクルの乱れやストレス、偏った食生活などがあげられています。治療法としては、一般的にはステロイド外用剤が有効ですが、症状自体が慢性的なものなので、副作用が生じないように症状に応じての使い分けが必要となります。
また、内服薬として抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を用いることも痒みには効果的です。
脂漏性皮膚炎
- 伝染性膿痂疹 (とびひ)+
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飛び火のように全身に拡がったり、他人に伝染することから一般に‘とびひ’と呼ばれています。
とびひは、原因菌により水疱型のものと、※痂皮(かひ)型のものに分類されます。
(1) 水疱型伝染性膿痂疹
表皮剥脱毒素を産生する黄色ブドウ球菌によるものです。
表皮剥脱毒素により表皮細胞と表皮細胞の接着を解離して水疱を形成します。皮膚に小さな水疱を生じ、水疱はすぐに破れて、びらんを作り、さらにその周辺に拡大していきます。
治療法
局所治療と抗菌薬治療を行います。
(1)局所治療
病変部位を清潔にすることが必要ですので、流水、シャワーなどで壊死した組織、痂皮をできるだけ除去します。広範囲に皮疹がある場合は抗菌剤外用、ガーゼ保護を行いますが、軽微な場合は内服治療だけを行います。
(2)内服治療
内服前に細菌検査、感受性試験を行い、耐性菌による場合に備えます。伝染性膿痂疹は進行が早いので、治療効果を判定するため細菌検査結果と併せて経過を判断することが必要です。
最近、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による伝染性膿痂疹が増加する傾向があります。
MRSAは抗菌剤をよく使用する大病院では院内感染を起こすことで知られていますが、最近では大病院とは無関係の地域社会の感染症でも見つかるようになりました。
しかし、当クリニックで検出されるMRSAは大病院で見つかるMRSAとは異なり、効果的な抗菌剤が見つかることが多いのでご安心ください。
痂皮型伝染性膿痂疹
- 水虫(白癬 爪白癬)+
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水虫は皮膚科では白癬(はくせん)と呼び、かびの仲間である白癬菌が皮膚に寄生することにより発症します。
白癬には、4種類があります。
- (1) 足の指の間が紅くなって。皮がむけたりじめじめしたり、白くなったりする
趾間型 - (2) 小さな水疱のできる小水疱型
- (3) 足の裏が硬くなったり、踵がひび割れしたりする角質増殖型
- (4) 爪が黄白色に変色したり、厚くなったり、変形したりする爪白癬
の4種があります。
(1)(2)は痒いため、水虫と自覚してたいていの方が受診されますが、
(3)(4)は痒くないため、受診されない場合が多いです。
爪白癬治療薬として、外用薬2種(エフィコナゾール、ルリコナゾール)、内服薬3種(テルビナフィン、イトラコナゾール、ホスラブコナゾール)があります。
治療法
(1)(2)は、外用剤で治療します。最近では1日1回塗布すれば良い塗り薬が多いので、毎日風呂上りに外用剤を1回2,3ヶ月塗っていただきます。
(3)(4)は、外用剤が到達しにくい深いところに白癬菌がいます。外用剤では なかなか効果を現しませんので、内服薬で治療する必要があります。最近発売された薬剤は白癬菌に対して殺菌的に働くため、短期的に効果を現し、副作用が少ないものもあります。足白癬の場合は約2ヶ月、足爪白癬菌の場合は約6ヶ月の内服で治療します。
家族の方にも、感染させる可能性がありますので、きちんと治療することが必要です。
水虫(癬)
- (1) 足の指の間が紅くなって。皮がむけたりじめじめしたり、白くなったりする
- 乳児食物アレルギー+
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全身の湿疹、時には喘息のような症状のため受診する乳児が増えています。このような場合は、食物アレルギーを考える必要があります。母乳で育てている場合は、なぜ乳児に食物アレルギーが出るのか疑問を持つ方もおられますが、これは環境にある卵白、牛乳が乳児の皮膚から吸収され、感作されるためと考えられています。
検査方法
乳児の採血は困難な事が多いので、病歴を詳細に確認した後、プリックテスト(皮膚表層に点状の小さな傷をつけて、ここにごく少量のアレルゲンを入れる)を行いますので、アレルギーを起こす可能性のある食品(卵や牛乳など)を当日持参してください。
その際、上記の検査結果と比較する為、ヒスタミン溶液、生理食塩水を使用したプリックテストを行います。
プリックテスト時の痛みは軽微ですので、乳児にも安心です。
除去方法
離乳食については原因と思われる食事を制限することにより、皮疹が軽快するかどうかを判定します。
- 尋常性疣贅 (いぼ)(液体窒素を使用した場合) +
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尋常性疣贅は、‘ヒト乳頭腫ウイルス’というウイルスの一種が皮膚に感染してできます。
足のうら、手の指(とくに爪のまわり)、手のひら、膝がしら、膝のうらなどにできる丘疹(きゅうしん:皮膚面から盛り上がった発疹)です。通常、かゆみや痛みなどの自覚症状はありません。治療法
治療方法は2種類あります。液体窒素を使用した治療法の場合は、保険診療になります。
(※モノクロロ酢酸を使用した場合は、健康保険対象外です)
治療方法は、医師とご相談ください。
- 原発性限局性多汗症+
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多汗症とは、汗が本来の役割を超えて大量に発汗してしまう症状のことを言います。
通常、汗には体温調節機能や皮膚表面の適度な湿度を供給する機能、自然免疫などにより外界の細菌、ウイルスから体を守る作用がありますが、多汗症の場合はそうした汗本来の役割を超えて、日常生活に支障をきたすようになります。
原発性多汗症は多汗症の中でも特に原因がなく発症する多汗症です。
治療法
当クリニックでは、塩化アルミニウム塗布療法を行っています。小児の手のひらや足蹠多汗症(そくせきたかんしょう:足のうらの多汗症)では、多くの場合治療後数日で著明な効果を示しています。 腋窩多汗症(えきかたかんしょう:ワキの下の多汗症)の場合も塩化アルミニウム塗布療法を行っています。
- 特発性慢性蕁麻疹 +
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蕁麻疹は日常診療でよく見られる疾患です。多くは抗ヒスタミン薬内服で治療します。しかし中には、食物、物理的刺激等の蕁麻疹の症状を誘発する原因が特定されず、抗ヒスタミン薬の増量等の適切な治療を行っても、日常生活に支障をきたすほどの痒みを伴う蕁麻疹を繰り返す方がおられます。その場合は、遺伝子組換えヒト化ヒトIgEモノクローナル抗体製剤オマリリズマブ皮下注で治療します。通常、オマリズマブを4週間毎に計3回皮下に注射します。12週以降も継続して皮下注する場合は、必要があるかどうか相談しています。
健康保険対象外
- 巻き爪+
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爪の切りすぎなどで爪の先端や側縁が強く屈曲し、周囲組織に食い込み、痛み、発赤、腫脹を起こしたものを巻き爪といいます。
陥入部分を爪きりなどで切る方をよく見かけますが、一時的に痛みが緩和されるだけで、爪が伸びてくると症状が再燃します。また、このようなことを繰り返していると、陥入の程度が次第に強くなってしまいます。
また、抜爪をしても、再発率は70~80%とされていますので、根本的な治療方法ではありません。
治療法
当クリニックでは、巻き爪の治療法としてVHO法を行っています。
VHO法
3つのワイヤーがあり、側爪部にワイヤーを引っ掛け、他側の側爪部にも同様のワイヤーを引っ掛けます。これらの2つのワイヤーをもうひとつのワイヤーで締め上げることにより爪甲の彎曲を矯正する方法です。VHO法の場合は比較的痛みが少ないので、多くの場合は局所麻酔を用いないで治療可能です。いずれの場合も、施術日から入浴可能で、過激な運動を避けること以外、日常生活での制限はありません。
治療後は、ワイヤー除去のために来院していただく必要がありますが、それ以外は不都合のない限り通院の必要はありません。
- ピアッシング+
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※未成年の方の場合は保護者の同意書が必要です。
(中学生以下は不可。高校生は保護者の同意書及び当日保護者の同伴が必要)
※ピアスの持込はできません。(ピアスは当クリニックで用意しています)
ピアッシング料金(ピアス代、抗生物質代、消毒液代、消費税含む)
スタンダード 4,400円(片耳2,750円) チタン※ 6,600円(片耳4,400円) ※「チタン」は、金属アレルギーが起こりにくいチタン素材のピアスです。
- 尋常性疣贅 (いぼ)(モノクロロ酢酸を使用した場合)+
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尋常性疣贅は、‘ヒト乳頭腫ウイルス’というウイルスの一種が皮膚に感染してできます。
足のうら、手の指(とくに爪のまわり)、手のひら、膝がしら、膝のうらなどにできる丘疹(きゅうしん:皮膚面から盛り上がった発疹)です。通常、かゆみや痛みなどの自覚症状はありません。
治療法
治療方法は2種類あります。モノクロロ酢酸を使用した治療法の場合は、健康保険対象外です。
(※液体窒素を使用した場合は、保険診療になります)
治療方法は、医師とご相談ください。
- 円形脱毛症+
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円形脱毛症(Alopecia Areata)は、自己免疫疾患の一種であり、免疫システムが誤って毛包を攻撃することで引き起こされます。この結果、頭髪や体毛が円形または楕円形に抜け落ちます。円形脱毛症は、単発型、多発型、全頭型、全身の毛が抜ける汎発型などに分類され、その進行と重症度は個人によって異なります。原因としては、遺伝的要因、環境要因、ストレス、感染症などが考えられていますが、正確なメカニズムは未だ完全には解明されていません。
局所免疫療法
局所免疫療法は、免疫系の異常反応を制御し、毛の再生を促進するための治療法です。皮膚に免疫反応を誘発する化学物質を塗布し、意図的に接触皮膚炎を引き起こします。この局所的な免疫刺激により、毛包周囲の自己免疫反応を抑制し、毛の成長を促す効果があります。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、局所免疫療法は中等度から重度の円形脱毛症に対して最も高く推奨されており、多くの臨床試験でその有効性が示されています。個人差はありますが、局所免疫療法を受けた患者さんの約50~60%が、6か月以内に毛の再生を経験すると報告されています。
SADBE
SADBE(Squaric Acid Dibutyl Ester、スクアリック酸ジブチルエステル)は、局所免疫療法で使用される化学物質の一つです。SADBEは皮膚に塗布されると、軽度のアレルギー反応を引き起こし、その結果として免疫システムが修正され、毛包への自己免疫攻撃が減少します。SADBEは非特異的免疫調整作用を持ち、安全性と有効性が広く認められています。
治療の流れ
(1)初診
・医師が患者さんの脱毛の状態を評価し、円形脱毛症の診断を確定します。
・他の脱毛症との鑑別診断(膠原病、甲状腺疾患、梅毒、AGA、FPHL、抜毛症など)のため必要に応じて血液検査なども行います。
・円形脱毛症と診断された場合はタイプと重症度に基づき治療計画を立てます。
(2)パッチテスト/感作
・SADBEに対するアレルギー反応を確認すると同時に、体にSADBEに対する免疫をつける(感作する)ために行います。
上腕の内側や頭部の脱毛部の皮膚に少量のSADBE(1%)を塗布します。通常、48時間後に赤みや腫れ、かゆみが適度に出てきます。
(3)治療開始
・初回治療:パッチテスト/感作で問題がなければ、感作成立の2週間後から円形脱毛症の患部にSADBEを塗布します。
初回は低濃度で開始し、必要に応じて濃度を調整します。塗布後は軽い痒みと淡い紅斑が数日ある程度が丁度良い濃度となります。・通院頻度:通常は1~2週間に一度の頻度で治療を行います。
・発毛が認められてからは、受診頻度を下げて、例えば4週間に一度程度受診をいただき、外用を継続します。
(4)副作用
・まれにSADBEを塗布した部のかぶれが重度になり水泡や発赤、腫脹が生じたり、顔のかぶれ、蕁麻疹、リンパ節の腫脹、色素沈着、
色素脱失等が起こる場合があります。・特に元々アトピー性皮膚炎を合併されている方はSADBEを塗布していない部位でも湿疹が悪化する場合があります。
・このような場合は一端SADBEの塗布を中断して、ステロイド外用剤や抗アレルギー剤の内服などで治療を行います。
料金
SADBE療法は健康保険対象外です。費用についてはクリニックにお問い合わせください。
最後に
円形脱毛症は適切な治療を受けることで改善が期待できる疾患です。当クリニックでは、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供し、安心して治療を受けていただけるよう努めています。治療に関するご質問やご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。